オムニチャネルとは、顧客との接点となるチャネルの違いを区別せず、すべてのチャネルを統合して顧客とのコミュニケーションを図る戦略です。
最近ではオムニチャネルという言葉をよく耳にするようになりました。しかし、
- オムニチャネルとは?
- オムニチャネルのメリットとは?
- オムニチャネルの具体的な事例が知りたい
そんな疑問やお悩みを抱える方も多いと思います。
そこで今回は、オムニチャネルについての基本的な知識と特徴を解説しつつ、
オムニチャネル戦略で成功している企業の具体的な事例も紹介していきます。
オムニチャネルを導入するためには、集客や在庫管理、決済などあらゆる課題を解決していく必要があります。
オムニチャネルを実現するためのおすすめツールも紹介するので、この記事を読めば初心者の方でもオムニチャネルについて網羅的に理解することができます。
DMMチャットブーストではマルチチャネルに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、マルチチャネル化した顧客との接点のすべてを統合し、データ管理やブランドイメージに一貫性を持たせ、顧客に最適な体験と満足を提供するとともに、自社の売上をアップさせる戦略です。
引用:meti.go.jp
実店舗、パソコン、スマートフォン、テレビ、雑誌、メール、SNS、チラシなど、企業が持つ顧客との接点(チャネル)は、多様化しています。なぜなら、顧客は特定のチャネルのみを使うのではなく、あらゆるチャネルから情報収集をしたり、購買行動を起こすようになったからです。
さまざまなチャネルから五月雨式に接触してくる顧客に対し、チャネルごとに戦略を考えていたり、サービスの質が異なっていたりしては一貫性のある価値やイメージを企業が提供できなくなっています。
顧客に最適な体験と満足を提供するためには、すべてのチャネルを統合して顧客と深く向き合う必要があるのです。
DMMチャットブーストではマルチチャネルに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
オムニチャネルの成功事例5選
オムニチャネルの成功事例もたくさんあります。
オムニチャネルは多彩なチャネルを持ちながらも、それらをすべて統合し、顧客に最大限の満足を提供するものです。
成功事例を真似るというよりは、成功事例の本質に迫ることが大切です。
どの企業も顧客満足に重点を置き、顧客満足のために自社の戦略を変化させているという点に着目していきましょう。
オムニチャネルの事例①無印良品
引用:muji.com
無印良品を運営する良品計画は、店舗数が全世界で1000を超え、商品アイテムも、衣服や生活雑貨、食品、家に至るまで7000アイテム以上となっています。
一貫性のあるブランドイメージと機能的なアイテムで、日常生活を豊かにしてくれるショップとして馴染み深い人も多いことでしょう。
無印良品は、店舗、ネットストアで共通して使えるポイントを発行することで、店舗でもネットでも同じ購買体験ができるようにしています。
アプリを使うことで、さまざまなサービスや便利な機能を利用することができるので、顧客満足度を高めるとともに顧客を囲い込みブランドメッセージも届きやすくなっています。
顧客は店舗やネットというチャネルの違いを意識せずに、いつでも便利に無印良品のアイテムを探したり購入したりできます。
購入後の相談やレビューなどもアプリを通じて行うことができます。
まるで顧客の生活の一部のように無印良品が溶け込んでいる状態であり、これがまさにオムニチャネルなのです。
こうした戦略が奏功し、良品計画は店舗数と売上、利益を毎年伸ばしています。
オムニチャネルの事例②ユニクロ
日本全国に店舗を持つユニクロでは、スマートフォン上でも店舗と同じ購買体験ができるように
『UNIQLO IQ』というアプリを提供しています。
引用:uniqlo.com
『UNIQLO IQ』では、コーディネートの相談をチャットで行えるようになっていたり、注文や返品・交換の相談ができるようになっていたりと店頭と同じような体験ができるようになっています。
アプリから注文して店頭で受け取りができるサービスもあり、顧客はチャネルの区別を意識することなく、ユニクロのサービスが受けられる状態を作り出しています。アパレル業界はコロナ禍で軒並みに大苦戦を強いられる中、ユニクロは若干の減収でとどまっています。
顧客のニーズをしっかりと掴むとともに、時代の変化に対応したオムニチャネル戦略で成功している事例と言えるでしょう。
オムニチャネルの事例③マクドナルド
マクドナルドは店頭でのイートインだけでなく、ドライブスルーやデリバリーにも対応しています。
また、アプリを使えばレジに並ばずに席まで注文した品を届けてもらったり、駐車場で受け取ることも可能になっています。
店舗でのサービス提供が中心であるものの、あらゆる方法でマクドナルドの美味しさが楽しめるようになっています。
コロナ禍によるテイクアウト需要にも対応できたおかげで、2021年度の決算では過去最高益の予想をさらに上方修正するという好調ぶりとなっています。
顧客のニーズに向き合い、一貫性のあるサービスとブランドを展開したことによる結果によるものと言えるでしょう。
オムニチャネルの事例④ニトリ
ニトリでは、店舗とネットの融合が進んでいます。
店舗の拡大も続けているニトリですが、ECサイト、ECモール、アプリなどの多彩なチャネルを展開しています。
ニトリアプリでは110円につき2ポイントがつくポイントサービスを展開したり、部屋のコーディネート写真から気になる家具や雑貨を探せたり、チラシの画像をアプリで撮影することで商品検索ができるなど、実店舗でもネット上でも買い物が楽しめるようになっています。
コロナ禍であってもニトリの業績は34期連続で増収増益を続けており、
顧客ニーズにしっかりと向き合うニトリの姿勢は、どの業界においても参考になるでしょう。
オムニチャネルの事例⑤カインズ
ホームセンターを運営するカインズは、店舗展開はもちろんのこと、ネット通販、アプリの展開に力を入れています。
引用:cainz.com
アプリを使えば買い物でポイントが貯まることはもちろん、店舗の在庫を探したり、売り場の位置も探したりすることができます。
在庫情報や商品の売り場位置は、情報を一元管理できているからこそ、顧客にも提供できる価値に変えることができます。
顧客は店舗でもネット通販でもアプリでも、カインズの情報にアクセスして、必要な商品を探したり購入するという体験ができるようになっています。
カインズはコロナ禍においても、2021年2月期の売上が過去最高となっています。
オムニチャネルが人気の理由
オムニチャネルが人気の理由1|様々な購買スタイルに対応できる
オムニチャネルを活用することで、実店舗で買いたい人も、ネットショップで買いたい人もどちらにも対応することができます。
オムニチャネルが人気の理由2|機会損失を防げる
実店舗で商品がなくなってしまった場合、ネットショップでその商品を買うことができます。オムニチャネルを導入していれば、他店舗で買ってしまうことなく商品購入へ結びつけることが可能です。
オムニチャネルが人気の理由3|顧客接点を増やせる
ネットショップで買う前に、実店舗で実際に商品を見たいという人もいます。オムニチャネルはその要望に答えられるため、顧客との接点をより増やすことができ、商品を売るチャンスを増やすことができます。
DMMチャットブーストではアパレルブランドの立ち上げに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
オムニチャネルと他のチャネルとの違い
オムニチャネルに似た言葉として、シングルチャネル、マルチチャネル、クロスチャネルがあります。
それぞれの違いを表にまとめました。
チャネル | データ | 顧客との関係性・満足度 | |
シングルチャネル | 1つ | 1つ | 低い |
マルチチャネル | 複数 | 複数 | 普通 |
クロスチャネル | 複数 | 1つ | 高い |
オムニチャネル | 複数を統合し1つ | 1つ | 非常に高い |
各チャネル戦略についても解説していきます。
非オムニチャネル | オムニチャネル | |
価格 | チャネルによって価格が異なる場合がある | 価格は統一されている |
色合い | チャネルによって色合いが異なる場合がある | 色合いは統一されている |
商品説明 | チャネルにより、コンセプトやスペックの説明が異なる場合がある | 商品説明は統一されている |
スタッフの意識 | 担当部門や自分の売上目標を達成しようとする | 顧客に最適な体験や満足を提供しようとする |
顧客の行動 | できるだけ安いチャネルを探そうとする | どこからでも迷わず購入できる |
在庫 | チャネルにより在庫状況が異なる | 在庫は一貫で管理され、最速で届けることができる |
ブランドイメージ | チャネルによってイメージに差異を感じる | 揺るぎないイメージを感じる |
オムニチャネルとシングルチャネルの違い
シングルチャネルとは、顧客との接点がひとつしかない状態です。
例としては、実店舗のみでしか顧客との接点がない商店などです。また、ECサイトのみの運営で、他のチャネルがない状態もシングルチャネルとなります。
オムニチャネルと違って運営はシンプルですが、
顧客との接点が少ない分、顧客との関係性や顧客の満足度は低い状態と言えるでしょう。
オムニチャネルとマルチチャネルの違い
マルチチャネルは、顧客との接点を複数持っている状態です。
例としては、実店舗とECサイト、カタログ通販を同時展開しているような状態です。それぞれのチャネルは独立的に運用され、顧客名簿や在庫情報はそれぞれのチャネルで管理している状態がマルチチャネルです。
オムニチャネルと違って、各チャネルは独立的に運用されます。顧客との接点は増えていますが、企業の対応はチャネルによって異なります。そのため、実店舗で買ったものがECサイトでは安かったということが起こったり、カタログ通販をよく利用していても実店舗のスタッフはお得意様であること知らなかったりします。
マルチチャネルの状態は、顧客にとってはチャネルが増えて便利な反面、サービスの質や情報管理がチャネルによって分断されるので不満が残る場合もあるでしょう。
オムニチャネルとクロスチャネルの違い
クロスチャネルは、複数のチャネルを持ちながら、顧客名簿や在庫情報を統合して管理している状態です。
企業も顧客もチャネルの違いを意識しつつ、各チャネルを横断的に利用する状態がクロスチャネルです。
顧客にとってはさまざまなチャネルから欲しい製品やサービスを購入することができます。サービス内容や情報が一元管理されているので、利便性や満足度も高まります。
一方、企業はチャネルの違いを意識しながら運営しますので、一貫性のある価値やサービスの提供には限界があります。
極端な例でいえば、店舗では売上が落ちてきた商品を在庫一掃セールで処分しているのに、ECサイトではまだ売上が好調なため人気商品として売り出しているかもしれません。
オムニチャネルなら顧客と企業が深くつながる
オムニチャネルはクロスチャネルをさらに進化させ、各チャネルの違いを自社も顧客も意識しない状態です。
あらゆるチャネルは駆使しつつも、企業と顧客が深くつながった状態になります。
顧客は企業のファンになり、企業は顧客に対して価値あるサービスやブランドイメージを継続的に提供していきます。
顧客はチャネルの違いを意識せずに常に最適な体験や満足が得られます。結果として、企業の売上が最大化していきます。
オムニチャネルのメリット・デメリット
オムニチャネルにはメリットとデメリットがあります。
デメリットも理解した上で、メリットを最大限に享受できるようにしていきましょう。
オムニチャネルのメリット
オムニチャネルの主なメリットは以下の3つです。
- 顧客に一貫したブランドイメージを提供できる
- 顧客に最適な体験や満足を提供できる
- 結果的に大きなベネフィットを得られる
それぞれを解説していきます。
オムニチャネルのメリット①顧客に一貫したブランドイメージを提供できる
オムニチャネルにすることにより、顧客に一貫したブランドイメージを提供することができます。
これにより、顧客に対して揺るぎない信頼や安心を感じてもらえます。
オムニチャネル化することにより、各チャネルごとに異なっていた業務が統一され、
コストパフォーマンスの高い事業運営ができるようになります。
オムニチャネルのメリット②顧客に最適な体験や満足を提供できる
オムニチャネルは企業側の都合ではなく、顧客が求める本質を追求する戦略となります。
チャネルを統合的に運用することで、戦略がブレなくなり、スタッフの意識も統一され、高い水準でのサービス提供が可能になります。
その結果、顧客が求める本質に迫れるようになり、顧客に最適な体験や満足を提供できるようになります。
オムニチャネルのメリット③結果的に大きなベネフィットを得られる
オムニチャネルのメリットは、顧客と徹底的に向き合い、顧客に価値を提供することによって、結果的に大きなベネフィットを得られることです。オムニチャネルを成功させるためには、マーケティングをしっかりと行い、顧客と真摯に向き合う必要があります。
なぜなら、顧客が求める本質を理解できなければ、高い顧客満足は得られないからです。
高い顧客満足が得られれば、顧客はその商品やサービスを指名してくれます。競合との競争を排除し、自社の設定する価格で購入してくれるようになります。
オムニチャネルは、顧客満足度も企業の売上も相乗的に高まった理想的な状態となります。
アップルやルイ・ヴィトン、メルセデス・ベンツのように、顧客に選ばれる強いブランドを構築した状態が、オムニチャネルの目指すゴールです。
オムニチャネルのデメリット
オムニチャネルの主なデメリットは以下の3つです。
- チーム運営や個人評価が難しい
- 非効率なチャネルを廃止しにくい
- オムニチャネルの成功は難しい
それぞれを解説していきます。
オムニチャネルのデメリット①チーム運営や個人評価が難しい
オムニチャネルでは、チームや担当者の評価が難しくなります。
チャネルごとの違いを認識している状態は、企業側としてオムニチャネルを達成できていない状態です。
ですが、企業としては人材やリソース、予算を縦割りして管理せざるを得ない部分もあります。
売上もどこかにつけなければ評価ができません。しかしこれでは、オムニチャネルの思想と相反してしまいます。
どのチームや個人が、どの程度の貢献度だったのか、どう評価するのかがオムニチャネルでは難しいと言えます。
しかし、チームや個人の評価のために顧客の体験や満足を犠牲にするわけにはいきません。顧客最優先で考えたうえで、個別の評価については貢献度に応じて分散する必要があるでしょう。
オムニチャネルのデメリット②非効率なチャネルを廃止しにくい
オムニチャネルは顧客の体験や満足を高めるために、自社の多彩なチャネルを統合的に管理し、一貫性のあるサービスやイメージを提供していきます。企業が顧客側に立てば立つほど、企業側の都合やこれまでの理屈は通りにくくなってしまいます。
例えば、オムニチャネルにおいては、顧客はお店で買ってもECサイトで買っても同じ体験や満足が得られます。
しかし、企業は店舗とECサイトでは固定費や人件費がまったく異なります。販売代理店やECモールを通せば手数料もかかります。チャネルによって利益率がまったく異なることが多いでしょう。
販売効率を考えれば、ECサイトのみで提供すれば良いということになります。しかし、顧客から見れば、実店舗で実際に商品を手に取ったり、スタッフに質問するという体験で満足した結果、ECサイトで購入するケースも考えられます。
表面的には実店舗が非効率であっても、顧客満足のために必要なチャネルであれば廃止しにくいということになります。
オムニチャネルの成功は難しい
オムニチャネルを実現するために、さまざまな企業が先進的な取り組みを行ってきました。
日本の名だたる企業が、すでに数年前からオムニチャネル化を推進しています。しかし、成功事例として上げられる例は少ないです。また、コロナ禍においてはことごとく売上を落とす結果となっているのが実情です。
オムニチャネルを実現することは可能でも、成果を残すのは難しいという現実もあります。
しかし、顧客はさまざまなチャネル使って、商品を知ったり、探したり、購入したりしているのが事実です。スマートフォンの中でさえも、Webサイト、ショッピングモール、アプリ、メール、SNS、YouTube、マップ、ゲームなど、数えきれないコンテンツと膨大な情報が溢れています。
オムニチャネル化しなければ、顧客に知ってもらうきっかけすら失う可能性があります。
オムニチャネルの成功は簡単ではありませんが、多様化する顧客のチャネルに自社を合わせなければ時代に取り残されてしまうでしょう。
オムニチャネルで売上をアップさせよう
本記事ではオムニチャネルの解説と成功事例について解説しました。
オムニチャネルを実現することで、顧客に最適な体験や満足を提供できるだけでなく、
自社の商品やサービスの売上もアップさせることができるでしょう。しかし、多彩なチャネル戦略を効率的に運用するには、在庫情報などを一元管理したり、接客を自動化したりして、業務改善の時間を作ることが大切です。
ECサイトを構築するにはShopifyがおすすめです。
また、『集客と接客』には、Shopifyと連携でき、LINEでユーザーとやり取りができるチャットボットシステムが便利です。
DMMチャットブーストなら、Shopifyとシームレスな連携が可能。効率化と自動化によって、時間やコストを圧縮できます。
ECサイトの経営者や責任者、スタッフの方は、より戦略的で創造的な仕事に時間やコストを振り向けることができ、ますますECサイトの売上がアップしていきます。
『Shopify』×『DMMチャットブースト』で、多彩なチャネル戦略を効率的に運用し、集約や売上をアップさせましょう。
DMMチャットブーストではチャットボットのアプリやメルマガの配信方法に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。