EC市場の現状と今後

【2022年版】EC市場の現状と今後勝ち抜いていくためのポイント

EC事業を始めてみたいけど、市場がどのような状態なのか。
EC市場で勝ち抜くためには何をしなければならないのか。

このようなことを考える方も多いのではないでしょうか。

スマートフォンの普及により広がりを見せていたEC市場は、2020年の新型コロナウィルス感染症拡大にともなう外出自粛の影響から、急拡大を見せた分野と縮小に転じた分野に分かれることになりました。
ここでは2021年時点でのEC市場の現状と、広がりを見せる市場で今後勝ち抜いていくためのポイントについて解説していきます。

DMMチャットブーストではEC事業に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。

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EC市場の基礎知識

EC市場を知る前に、あらためてECについての基本的な知識を確認していきましょう。

EC市場の基礎知識1|ECとは

ECとは、Electronic Commerceの略称で日本語では電子商取引と訳されます。インターネット上で行われる売買などの商業行為すべてを指す言葉です。商品を購入できるインターネット上の通販サイト(ECサイト)だけではなく、インターネットを通じて旅行などを申し込むサービスのサイトや、動画配信などのコンテンツを購入するサイトもECの中に含まれます。

EC市場の基礎知識2|ECには3つの種類がある

販売する側、購入する側の違いによって、ECは大きく3種類に分けることができます。

BtoC-EC

BtoC-ECとは、企業や店舗が消費者へ販売する小売サイトのことを指します。Amazon楽天市場などのECモールや、メーカーやブランドが運営しているECサイトなどがこれにあたります。

BtoB-EC

BtoB-ECとは、企業間での取引を行うサイトのことです。卸売り専門サイトや、商品の原材料などを取り扱うサイトになっており、一般の消費者は購入することができない場合がほとんどです。EC市場の中で最も規模の大きいジャンルです。

CtoC-EC

CtoC-ECとは、消費者同士が商品を売買するサイトです。メルカリなどのフリマアプリやヤフオク!などのオークションサイト、個人間でサービスを提供するココナラなどが含まれます。売買する場を提供するフリマアプリやオークションサイトは、販売した商品に対する手数料や、サービスの利用料を得ることでサイトを運営しています。

 

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2021年版EC市場の現状

2021年7月に経済産業省が公表した「電子商取引実態調査」をもとに、EC市場の現状をデータで見ていきましょう。

引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました 経済産業省

国内のEC市場規模

2020年における国内のEC市場全体の規模は、前年に比べてほぼ横ばい、もしくは縮小傾向になっています。
これまでほぼすべての分野で拡大を続けていたEC市場で、初めての傾向です。

分類ごとに市場規模を紹介していきます。

BtoC-EC市場

BtoC-EC市場は、19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)と前年とほぼ同規模になっています。
これまで右肩上がりだった市場の成長が急に止まった形です。

<年別BtoC-EC市場規模>

BtoC-EC市場規模 前年比伸び率
2016年 15兆1,358億円 9.9%
2017年 16兆5,054億円 9.1%
2018年 17兆9,845億円 8.96%
2019年 19兆3,609億円 7.65%
2020年 19兆2,779億円 ー0.43%

これは2020年の新型コロナウィルス感染症拡大が大きく影響をしています。
巣ごもり需要として物販の分野でECの利用が伸びたものの、外出自粛により旅行などのサービスの分野が大幅に売上を落としたため、市場全体として相殺されたことによるものです。

BtoB-EC市場

BtoB-ECの市場規模は近年右肩上がりを続けてきましたが、
2020年は334兆9,106億円(前年比 5.1%減)と減少しています。2020年は多くの分野で商取引そのものが減少しており、その結果BtoB-EC市場も減少したとみられます。
ですが、その中でも「小売」「建設・不動産業」「情報通信」分野はBtoB-EC市場の拡大を見せました。

 

<年別BtoB-EC市場規模>

BtoB-EC市場規模 前年比伸び率
2016年 290兆9,130億円 1.3%
2017年 318兆1,610億円 9.0%
2018年 344兆2,300億円 8.1%
2019年 352兆9,620億円 2.5%
2020年 334兆9,106億円 ー5.1%

CtoC-EC市場

物販系が多いCtoC-EC市場は、2020年市場規模を1兆9,586億円(前年比12.5%増)に拡大させました。
特にフリマアプリの市場の成長が影響しているものと見られています。

CtoC-ECは中古品の売買を行うリユース市場のひとつの形態ともいわれています。
そのため新型コロナウィルス感染症拡大の影響で自宅を整理する人も増え、リユースを利用した人が多かったと推察されています。

 

世界のEC市場規模

海外に目を向けたとき、世界のEC市場規模はどのような現状なのでしょうか。

世界のBtoC-EC市場規模は4兆2,800億USドル(前年比約27%増)と2020年も拡大を続け、2024年には6兆3,900億USドルにまで上昇していくと見られています。国別で見ると2兆2,970億USドルで中国がトップ、続いてアメリカが7,945億USドルイギリスが1,804億USドルで、日本は続く第4位の位置に付けています。中国は2位のアメリカに3倍近い差を付けており、世界最大のEC市場と言うことができます。

<国別EC市場規模>

国別市場規模順位 EC市場規模(単位:億USドル)
1位:中国 22,970
2位:アメリカ 7,945
3位:イギリス 1,804
4位:日本 1,413

(旅行やイベントのチケット、料金支払い関連、税金、送金、 フードサービス、ギャンブル等は含まれない。
また中国は香港を含んだ数字ではない)

国を越えてECを行う越境ECも、市場を拡大しています。
2019年時点では7,800億USドルと言われていた世界の越境ECの市場規模は、年間平均で30%の成長を見せると推測されています。

日本と特に越境ECで盛んに取引を行う中国・アメリカとの関係で見ると、中国・アメリカから輸入する額は3,416億円なのに対し、
二国への輸出額は2兆9,226億円と越境ECのほぼ9割が輸出による市場になっています。

<日中米三か国間における越境EC市場>

日本からの輸入 中国からの輸入 アメリカからの輸入
日本 340億円 3,076億円
中国 1兆9,499億円 2兆3,119億円
アメリカ 9,727億円 7,382億円

 

 

国内でEC市場の成長率が高いジャンル

国内のBtoC-EC市場は「物販系分野」「サービス系分野」「デジタル系分野」の3分野に分けることができます。

この中で2020年、特に成長率が高かったのが物販系分野です。12兆2,333億円と前年比21.71%増の伸びになっています。
デジタル系分野は2兆4,614億円で前年比14.90%増、もっとも成長率が低かったのがサービス系分野の4兆5,832億円の前年比36.05%減です。

<分野別BtoC-EC市場売上>

2019年 2020年
物販系分野 10兆515億円 12兆2,333億円
サービス系分野 7兆1,672億円 4兆5,832億円
デジタル系分野 2兆1,422億円 2兆4,614億円

物販分野で売上が大きいジャンルは、順に

  • 「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」
  • 「衣類・服装雑貨等」「食品、飲料、酒類」
  • 「生活雑貨、家具、インテリア」
  • 「書籍、映像・音楽ソフト」

になっています。この中でも上位4ジャンルの売り上げだけで、物販分野の73%を占めています。

2019年 2020年
生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等 1兆8,239億円 2兆3,489億円
衣類・服装雑貨等 1兆9,100億円 2兆2,203億円
食品、飲料、酒類 1兆8,233億円 2兆2,086億円
生活雑貨、家具、インテリア 1兆7,428億円 2兆1,322億円
書籍、映像・音楽ソフト 1兆3,015億円 1兆6,238億円

 

EC市場を読み解くために重要なEC化率

EC市場のデータを見る中で「EC化率」という言葉を見掛けたことがあるかもしれません。
実はこのEC化率は、EC市場を読み解くうえで重要なキーワードです。言葉の定義から解説していきます。

EC化率とは

EC化率とは、全体の販売額におけるECサイトの売上高の割合のことを言います。たとえば、売上額30億円のうち3億円がECサイトによる売上の場合、EC化率は10%です。このように、EC化率は、企業や市場においてどの程度EC化が進んでいるかを知るための指標と言うことができます。

BtoC-ECの業種ごとのEC化率は、経済産業省の「電子商取引実態調査」で物販系分野においてのみ見ることができます。

EC化率が高い業種

BtoC-EC市場でEC化率が高い業種は「書籍、映像・音楽ソフト」「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」「生活雑貨、家具、インテリア」になっています。

この中でも「書籍、映像・音楽ソフト」は、新型コロナウィルス感染症拡大によるステイホームの影響で、EC化率が飛躍的に伸びたと見られています。自宅ですぐにコンテンツを入手できる電子書籍や、動画配信などのコンテンツサービスの需要が高まったためです。

<EC化率が高い業種 前年との比較>

2019年 2020年
書籍、映像・音楽ソフト 34.18% 42.97%
生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等 32.75% 37.45%
生活雑貨、家具、インテリア 23.32% 26.03%

 

 

EC化率が低い業種

BtoC-EC市場でEC化率が低い業種は、「自動車、自動二輪車、パーツ等」「食品、飲料、酒類」「化粧品、医薬品」になっています。

EC化率の低い業種は、対面での販売が主であったり、実店舗の利便性の高さからECサイトの利用率が低いなど、ECとの相性が良くない場合もあります。ですが、BtoC-ECにおける市場規模自体はどれも前年から15%以上の伸びを見せており、伸びしろの多い業種と言うことができるでしょう。

<EC化率が低い業種 前年との比較>

2019年 2020年
自動車、自動二輪車、パーツ等 2.88% 3.23%
食品、飲料、酒類 2.89% 3.31%
化粧品、医薬品 6.00% 6.72%

 

EC市場の今後の展望を予測

EC市場はこれからどのように変化をしていくのでしょうか。今後の展望を解説していきます。

アフターコロナにおけるEC化率の増加

2020年に始まった新型コロナウィルス感染症拡大により、EC市場はEC化が進んだジャンルと、ECによる売上が縮小したジャンルに分かれてしまいましたそのため今後影響がおさまることで起こると見られているのが、縮小していた旅行などのサービス系分野の回復です。外出自粛で行動を控えていたぶん、反動消費が起こると予想されています。

また、巣ごもり需要により広がったECサイトの利用も減少して元に戻るのではなく増えたぶんが定着し、今後も拡大を続けていくと見られています。

アフターコロナといわれる新型コロナウィルス感染症拡大の影響がおさまった国内市場は、今後もEC化率を上昇させ、EC市場の広がりを見せていくでしょう。

 

販売チャネルの多様化

これまでのECサイトは、自サイトを構築するか、モールサイトに出店するかの二択で考えられることがほとんどでした。
しかし、スマートフォンの普及によりさまざまなサイトを消費者が行き来して商品を見比べることが一般的になっていることから、販売サイトを絞るのではなく、できる限り商品に触れるための販売場所は増やした方が良いという考え方に変わってきています。

そこで、自サイトとモールサイトへの出店を併用する形式が増えてくると考えられています。
また、実店舗とECサイトを切り分けるのではなく、在庫や顧客情報を一元管理することで販売する場所(販売チャネル)の違いを消費者に感じさせない「ムニチャネル」という考え方もEC市場で普及してきています。

多様化する販売チャネルに対応できるECサイトのシステム構築が、今後必須になることでしょう。

越境ECの増加

成長著しい越境ECも、EC市場で存在感を増してくると予想されています。

国内のEC市場は広がりを見せていますが、少子高齢化から消費自体は減っていくものと推測されています。そこで、より大きな市場である、中国やアメリカ、イギリスなどの海外へ気軽に輸出を行える越境ECが今まで以上に注目を集めると見られています。

これまでは海外での事業展開には、莫大な資金や市場の理解など様々な壁が立ちはだかっていました。しかし越境ECはそれらのハードルを下げ、最小限の投資で海外市場を対象にすることが可能になるのです。

 

EC市場を勝ち抜くためにこれから必要なこと

拡大を続けるEC市場で勝ち抜いていくためには、これからどのようなことが必要になるのでしょうか。ポイントを4つ紹介します。

SNSの活用

EC市場の拡大とほぼ同様に、近年拡大を続けているのがSNS利用者の数です。

総務省による「令和二年通信利用動向調査」によると、すべての年代においてSNSの利用者数は上昇傾向が続いており、国民全体の73.8%の割合にまで上っています。

SNSの利用目的も、第一位の「知人や友人とコミュニケーション」に続いて「知りたいことについて情報を探すため」が第二位につけており、情報収集の手段としてSNSを活用していることが分かります。

引用:令和二年通信利用動向調査

SNSを利用しているユーザーが多いということは、SNSを活用することでそれだけの数のユーザーにアプローチができるということです。情報を求めているSNSユーザーに商品に関する情報を発信することで、ECサイトへの流入効果を期待することができます。
商品についての動画配信を行うライブコマースもSNSとの相性が良いため、積極的な情報発信がECサイトへの誘導・売上アップに繋げることができます。

 

DXへの取り組み

EC化を進める中で見逃すことができないのが、DXへの取り組みです。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術を用いて生活をより良いものに進化させていくという概念を指す言葉になります。

実店舗とECサイトの両立など販売チャネルを増やしていこうと考えるのであれば、ECサイトだけではなく事業全体でのDX推進が必要になります。例えば、商品のタグを紙製のものからデジタルタグに変えることで在庫の管理を容易にしたり、実店舗とECサイトで在庫を一元管理することや、実店舗とECサイトの顧客情報を統一するなどの取り組みです。

事業全体の効率化に繋がり、ECサイトの売り上げ増だけではない相乗効果が期待できるでしょう。

コンテンツマーケティングの活用

コンテンツマーケティングとは、ただ商品を販売するだけではなく、商品にまつわる情報やコンテンツを提供し、ECサイトそのものをユーザーから見た価値あるサイトにしていくマーケティング手法です。
サイトに来てもらうだけではなく、価値あるコンテンツを提供することでユーザーを見込み顧客として育成し、ブランドのファンに繋げていきます。

提供するコンテンツの種類にもさまざまなものがあります。サイト上のブログやコラム、メールマガジン、SNS、近年ではLINE公式アカウントを使ったコンテンツの提供も盛んに行われています。
価値あるコンテンツは自然と情報も拡散され、新たな集客にも繋がります。今後のEC戦略には必須のマーケティング手法と言えるでしょう。

 

越境ECへの挑戦

業種によっては、EC市場は拡大していても業界そのものの売上が縮小傾向の場合があります。
もし国内での売上増に不安があるのであれば、越境ECにも挑戦してみましょう。

自サイトで海外向けサイトを構築するのはなかなか難しいですが、越境ECに強いECプラットフォームもあります。
たとえばShopifyには海外向けにサイトの翻訳機能が付いていたり、海外通貨に合わせた料金の表示、決済方法が選べるなど越境EC向けのシステムが用意されています。

自サイトに合わせたECプラットフォームを選ぶことで、挑戦が難しかった越境ECにも取り組みやすくなります。

EC市場の現状を把握して自社サイトを発展させていこう

EC市場は国内、海外ともにこれからも拡大を続けるとみられています。
競争が激化していく中で勝ち残っていくためにも、自社だけの強みを身に付けてECサイトを発展させていきましょう。

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