EC化率とEC強化策

2022年のEC化率はどうなる?今すぐやりたいEC強化策3選

日本のEC化率は今どれくらい?
今後はEC事業に力を入れた方がいいのかな?

EC市場が広がりを見せる中で、このようなことを考える方も多いはず。

この記事では、EC市場規模とEC化率の現在とこれからを紹介します。
EC化率が上がると、それだけライバル店舗が増えます。そのなかで、これからはいかにECを強化するかが大切です。


EC強化策についても紹介しますので、今後のマーケティング施策の参考にしてください。

DMMチャットブーストではEC市場に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。

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「EC化率」とは、全取引の内ECが占める割合

そもそも、EC化率とは何なのでしょうか。まずは、その定義を確認しましょう。

EC化率とは、全ての取引のなかでどれくらいをECが占めているかの割合です。
商取引には、実店舗での対面販売以外にも、電話やFAX、メールなどがあります。それら全てを含めた取引のなかで、ECが占める割合が産業ごとにまとめて公開されています。

ECとは「Electronic Commerce」の頭文字で、電子商取引のことです。インターネット等を介して商品を販売するサイトがECサイトで、EC化率はどれくらいECサイトが普及しているかの指針となります。

経済産業省の調査では、BtoCの物販分野に限定してEC化率を算出しています。インターネット経由が前提となるデジタル分野や、オンラインが一般化している金融サービス、インターネットを利用しにくい立ち食い・ファーストフード店を含む飲食サービスなどは、EC化率算出の対象としていません。

DMMチャットブーストではECサイトのオープンソースに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。

EC化率は上昇傾向?日本と世界のEC市場規模は?

まずは、日本と世界のEC市場規模を見てみましょう。
経済産業省の調査結果をもとに、それぞれのEC市場規模を解説します。

 

2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円

2020年の物販系を含むBtoC市場規模は19兆2,779億円でした。

一口でEC市場と言っても、サービス提供者や対象者はさまざまです。
最初に挙げた「BtoC」は、企業が個人にサービスを提供します。EC市場には、「BtoC」に加え、企業を対象とした「BtoB」、個人が個人にサービスを提供する「CtoC」などがあります。

 

BtoC

BtoCのEC市場は、以下3つの分野に分けられます。

物販系分野
サービス系分野
デジタル系分野

各分野の2020年の具体的な市場規模は以下のとおりです。

2019年 2020年 伸び率
物販系分野 10兆515億円 12兆2,333億円 21.71%
サービス系分野 7兆1,672億円 4兆5,832億円 -36.05%
デジタル系分野 2兆1,422億円 2兆4,614億円 14.90%

3分野の合計は19兆2,779億円ですが、2019年と比較すると830億減少しています。
これは、物販系で増加した分とサービス系で減少した分が相殺され、全体としては0.43%減少した形です。

2019年まではどの分野も右肩上がりで市場規模を広げてきました。
2020年における物販系の増加とサービス系の減少は、新型コロナウイルスの影響が大きいと考えられます。

緊急事態宣言や外出自粛による巣ごもり消費の拡大で、物販系分野は大きく数字を伸ばしました。
その一方で、緊急事態宣言や外出自粛がマイナス方面に影響したのがサービス系です。サービス系のなかで規模が大きかった旅行サービスは、約60%減少しています。

 

CtoCの市場規模

2020年のCtoC-EC市場規模は以下のとおりです。

2019年 2020年 伸び率
CtoC 1兆7,407億円 1兆9,586億円 12.5%

CtoCのECとしては、フリマアプリやオークションサイトなどが挙げられます。
それぞれ、メルカリラクマヤフオク!などが有名です。

新型コロナウイルスの巣ごもり消費の影響を受け、CtoCのEC市場規模は10%以上の伸び率を記録しました。
テレビCMによる認知度向上で利用者が増えたことも、市場成長の理由だと考えられます。転売や偽ブランド品の販売といった問題点もありますが、市場としては拡大傾向だといえるでしょう。

売り手としても参入しやすく、minneCreemaといったハンドメイド作品に特化したフリマアプリも好調です。

 

BtoBの市場規模

2020年のBtoB-EC市場規模は以下のとおりです。

2019年 2020年 伸び率
BtoB 352兆9,620億円 334兆9,106億円 -5.1%

2019年に比べると市場規模は縮小しています。
2020年は新型コロナウイルスにより経済が落ち込んだ影響があったと考えられます。

その一方で、BtoBのEC市場におけるEC化率は、2019年の31.7%から33.5%となりました。市場規模は縮小しても、EC化率は2019年までと同様に右肩上がりで伸びていることから、今後もオンライン化が進んでいくと考えられます。

 

越境ECの市場規模

越境ECとは、国境を越えた電子商取引のことです。
日本から海外に向けて販売したり、海外から購入したりする取引を指します。

2020年における日本・米国・中国の越境EC購入額と伸び率は以下のとおりです。

越境EC購入額 伸び率
日本 3,416億円 7.6%
米国 1兆7,108億円 9.9%
中国 4兆2,617億円 16.3%

日本の購入額3,416億円のうち、3,076億円は米国から、340億円が中国からの購入です。
米国・中国を見ると、米国1兆7,108億円のうち9,727億円、中国4兆2,617億円のうち1兆9,499億円が日本経由となっています。

日本の場合は購入額よりも販売額が高く、越境EC市場の大きさが感じられます。

 

日本はBtoC-EC市場規模4位

続いて、世界のEC市場規模を見てみましょう。

2020年の市場規模は4.28兆USドル、EC化率は18.0%でした。
新型コロナウイルスの影響もあり、市場規模は拡大傾向にあります。経済産業省は、2024年にはEC市場規模6.39兆USドル、EC化率21.8%まで上昇すると予測しています。

各国のBtoC-EC市場規模は以下のとおりです。

(単位:億USドル) 2019年 2020年
中国 18,015 22,970
米国 6,017 7,945
英国 1,339 1,804
日本 1,235 1,413
韓国 871 1,106
ドイツ 795 969
フランス 660 738
インド 426 554
カナダ 325 392
スペイン 268 364

中国の規模が際立って大きいものの、日本はBtoCのEC市場規模において世界4位に入っています。

参照:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

DMMチャットブーストではECサイトのリニューアルに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。

2020年の商品ジャンル別EC市場規模とEC化率

普段は、自社が販売するジャンルの市場規模やEC化率を意識する機会がなかなかないでしょう。
ここからは、BtoCのEC市場をジャンル別に紹介します。自社の販売するジャンルがどうなのか、動向を確認しておきましょう。

 

【BtoC】アパレルなど物販系分野のEC化率

物販系分野の各ジャンル市場規模およびEC化率は以下のとおりです。

(単位:億円) 2019年 2020年
市場規模 EC化率 市場規模 EC化率 前年比伸び率
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 18,239 32.75% 23,489 37.45% 28.79%
衣類・服装雑貨等 19,100 13.87% 22,203 19.44% 16.25%
食品、飲料、酒類 18,233 2.89% 22,086 3.31% 21.13%
生活雑貨、家具、インテリア 17,428 23.32% 21,322 26.03% 22.35%
書籍、映像・音楽ソフト 13,015 34.18% 16,238 42.97% 24.77%
化粧品、医薬品 6,611 6.00% 7,787 6.72% 17.79%
自動車、自動二輪車、パーツ等 2,396 2.88% 2,784 3.23% 16.17%
その他 5,492 1.54% 6,423 1.85% 16.95%
合計 100,515 6.76% 122,333 8.08% 21.71%

2019年にはどのジャンルも1兆円台で留まっていますが、2020年には以下の4ジャンルが2兆円を突破しました。

生活家電、AV機器、PC・周辺機器等
衣類・服装雑貨等
食品、飲料、酒類
生活雑貨、家具、インテリア

新型コロナウイルスの影響もあり、物販系の分野はどのジャンルも伸びています。
とくに大きく伸びたのは、生活家電、AV機器、PC・周辺機器等ジャンルです。
自宅で過ごす時間を充実させるために、生活家電の需要が高まった巣ごもり消費の一種だといえるでしょう。リモートワークやオンライン会議が増えることで、自宅のPC環境整備による需要もあったと考えられます。

それぞれのジャンルの市場規模拡大に新型コロナウイルスの影響が見られるなか、書籍、映像・音楽ソフト」「衣類・服装雑貨等ジャンルは、EC化率も大幅に上昇しました。

 

【BtoC】飲食などサービス系のEC化率

サービス系分野の各ジャンルの市場規模は以下のとおりです。

(単位:億円) 2019年 2020年
市場規模 市場規模 前年比伸び率
旅行サービス 38,971 15,494 -60.24%
金融サービス 5,911 6,689 13.17%
理美容サービス 6,212 6,229 0.27%
飲食サービス 7,290 5,975 -18.03%
チケット販売 8,583 1,922 -65.58%
フードデリバリーサービス 7,706 3,487
その他(医療、保健、住居関連、教育等) 6,036
合計 71,672 45,832 -36.05%

物販系分野と異なり、サービス系分野は前年比36%のマイナスです。
以下の3ジャンルは、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響を大きく受ける形となりました。

旅行サービス
飲食サービス
チケット販売

ただし、サービス系分野は新型コロナウイルスに伴う需要の制限があったため、市場の落ち込みも一過性のものだと考えられます。
ウィズコロナの時代となれば、感染対策を行ったうえでのサービス利用が復活するでしょう。

2020年より新設されたフードデリバリーサービスは、新型コロナウイルスの影響により市場を拡大したと考えられます。ほかのジャンルと違い、「フードデリバリーサービス」に関しては、新型コロナウイルス収束後に市場を維持できるかがポイントとなるでしょう。

 

【BtoC】電子書籍などデジタル系分野のEC化率

デジタル系分野の各ジャンル市場規模は、以下の表を確認してください。

(単位:億円) 2019年 2020年
市場規模 市場規模 前年比伸び率
オンラインゲーム 13,914 14,957 7.50%
電子出版(電子書籍・電子雑誌) 3,355 4,569 36.18%
有料動画配信 2,404 3,200 33.10%
有料音楽配信 706 783 10.80%
その他 1,043 1,105 6.00%
合計 21,422 24,614 14.90%

デジタル系分野に関しても、巣ごもり消費が市場拡大を後押ししました。
ステイホームで増えた自宅時間から、オンラインゲームや動画配信、電子コミック・電子書籍に充てる時間が拡大したと考えられます。

アニメの動画配信を視聴し、その原作・コミカライズとなる電子コミックを購入するという流れも確立されつつあります。そういった流れのなか、今後も市場は拡大傾向にあるといえるでしょう。

参照:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

 

2021〜2022年のEC化率は?

それでは、2021年以降のEC化率はどうなるのでしょうか。2020年の傾向を見ながら、今後のEC市場について考えてみましょう。

 

2020年はコロナ禍でEC化が進む

2020年は新型コロナウイルスの影響が多く見られました。
BtoCの物販系分野は、巣ごもり消費もあり、どのジャンルでも市場規模、EC化率ともに伸びています。

緊急事態宣言や外出自粛の影響で実店舗による販売が難しくなり、やむを得ずEC化にかじを切った店舗も少なくないでしょう。
自宅時間が増えたことにより、オンラインの取引需要が急増したという背景もあります。2020年は需要と供給ともに増大し、物販系分野のEC化が大きく進んだといえるでしょう。

 

2021年は安定に向かうウィズコロナの時代

新型コロナウイルスの流行から2年近くがたとうとする2021年は、ワクチン接種も始まり、打撃を受けた経済も持ち直しに向かっています。コロナ禍を抜け、コロナウイルスと共存するウィズコロナの時代だといえるでしょう。

ウィズコロナの時代には、コロナ禍の需要期にEC参入した店舗が業務安定化を図ると考えられます。
場当たり的な対応ではなく、本腰を入れてEC事業を行う店舗が増えるでしょう。仕入れの拡大やECサイトのリニューアルなど、今後もECサイトでの販売を続けられるよう、企業体制の見直しが進みます。

また、度重なる緊急事態宣言により、実店舗だけの販売に危機感を覚えた企業もあるでしょう。
2021年以降は、リスクヘッジとしてEC化が当たり前のことだと考えられるようになるのではないでしょうか。

2020年の巣ごもり消費以降、消費者目線からのEC需要は拡大しました。ウィズコロナ以降も、一定の需要は確保できると考えられます。その消費需要に応える形で、EC市場は安定して拡大しEC化が進むでしょう。

 

2022年以降は競争が激化

2020年のコロナ禍からの動きを経て、2022年以降は大手企業の参入や競合店の増加が想定されます。
そのため、ECサイトの競争はより激化するでしょう。

2020年のコロナ禍におけるEC特需が落ち着くと、ECの供給過多となる可能性も否定できません。EC市場は変わらず拡大傾向にあると考えられますが、小さな範囲で競合店が増えると競争は激化します。競合店が増えるなかで売り上げを確保するには、他店との差別化が必要となるでしょう。

そのため、2022年には、新たなサービスを考案したりオリジナリティを打ち出したりなど、各ECサイトがさまざまな工夫をするようになると考えられます。チャットボットによる接客の自動化や即日発送など、顧客満足度につながるサービスが当たり前となっているかもしれません。

出店場所にもよりますが、ECサイトを開設してすぐに売れることはまれです。まずはしっかり集客することが必要となります。
2022年以降はその傾向がさらに強まり、広告出稿だけの集客が難しくなる可能性もあるでしょう。

サイト独自の強みを明確にし、早い段階で顧客ニーズに応えることを考えていきましょう。

 

EC化率が伸びる中で今すぐにやりたいEC強化策3選

この先のことを考えると、少しでもECを強化しておきたいところです。ここからは、今すぐできるEC強化策を紹介します。

 

販路を拡大する

ECを強化するためには、まず何よりも販路を拡大することが重要です。
ECサイトをまだ開設していないなら、新しく始めてみましょう。

すでにサイト運営を始めているなら、多店舗展開を検討してみてください。自社サイトを運営しているなら、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどのショッピングモールに追加で出店してみましょう。各ショッピングモールは独自のポイント制度があり、ポイント目当てで購入モールを決めている消費者が一定数存在します。新店舗を増やすことで、新たなターゲット層を開拓できるでしょう。

リソースの問題で複数店舗の運営が難しいのであれば、気楽に始められるCtoCサービスの利用を検討するのもひとつの方法です。メルカリやラクマ、ヤフオク!なら、費用を抑えて簡単に始められます。

また、自社アプリを開発するのもよいでしょう。2020年のBtoC-EC市場規模12兆2,333億円のうち、6兆2,269億円がスマホ経由です。2020年には、初めてスマホ比率が半数を超えました。スマホサイトだけでなくスマホアプリでサービスを提供することで、顧客との関係性をより強化できるでしょう。

そのほか、販売先を海外に広げても売り上げ増加が見込めます。越境ECもあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

 

接客を自動化する

売り上げを伸ばすためには、マーケティングや集客といった戦略が欠かせません。
しかし、ECサイト運営にあたっては、受注や出荷などさまざまな日常業務があります。時間は有限ですので、業務の効率化が大きな課題だといえるでしょう。

その解決策として、接客の自動化が挙げられます。チャットボットを導入し、問い合わせ対応を自動化すれば大幅な業務効率アップが可能です。チャットボットによる問い合わせ対応なら、ユーザーが疑問をその場で解決できます。そのため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

おすすめ商品やお得情報をポップアップ表示できるWeb接客ツールを導入すれば、ユーザーに合わせた提案の自動化が可能です。同じ販促であっても、メールマガジンの配信ほどの手間はかかりません。

また、ファッションジャンルや美容ジャンルのECサイトであれば、バーチャル試着アプリやサービスの導入もおすすめです。事前にある程度の確認ができるため、イメージ違いによる返品を減らせるでしょう。返品があると、返品の案内に加え、返送品の検品や在庫調整、返金などの対応が増えます。返品を減らせば、付随する業務の負担減少が可能です。

ECサイトにおける接客を自動化できれば、業務効率アップと顧客満足度向上の両方が見込めます。
ECサイトをより強化できますので、今のサイトに必要なことは何か考えてみましょう。

 

SNSやブログとの連携

EC化が進むなかでは、SNSやブログとの連携がより一層重視されます。
NTTドコモの調査では、2021年1月時点でスマホ普及率は92.8%となりました。さらに、日常会話の手段を求める問いでは、別居家族・親族、友人、仕事関係者への連絡手段はLINEでのメッセージが1位です。それだけ多くの人がスマホでSNSを利用し、それが日常であると考えられます。

それだけ生活に溶け込んでいるLINEを通した販促や集客なら、結果を出しやすいといえるでしょう。
たとえば「DMMチャットブースト」なら、ECプラットフォームShopifyとの連携が可能です。連携することで、LINE上で商品の検索や購入、提案全てができるようになります。

そのほか、店舗ブログを開設し、スタッフ目線で見た商品紹介を展開するのも有効です。商品のコーディネート例やオリジナルの使い方など、商品ページとは違う見せ方をすれば、新たなターゲット層を開拓できるかもしれません。

参照:モバイル社会白書|モバイル社会研

 

EC化率がアップ!市場拡大に向け、今のうちにECの強化を!

2020年は新型コロナウイルスの巣ごもり消費により、EC市場規模も物販系分野のEC化率も大きく数字を伸ばしました
その一方で、新型コロナウイルスの影響により縮小となった市場もあります。

それぞれが相殺され、BtoCのEC市場規模全体としては830億円の減少となりました。

しかし、EC市場規模もEC化率も増加傾向にあり、これからのウィズコロナの時代にはさらに伸びることが期待されます。
競合店が増えることを考えると、早い段階でのEC強化が急務となるでしょう。

すぐに始められるEC強化策としては、チャットボット導入がおすすめです。
問い合わせを自動化できれば、マーケティングや販促に今よりも時間をかけられます。

DMMチャットブーストなら、顧客対応だけでなくマーケティングの自動化も可能です。
EC強化の第一歩として、DMMチャットブースト導入を検討してみてはいかがでしょうか。

DMMチャットブーストではEC事業に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。

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