「クラウドECという言葉を聞いたことはあるものの、どのようなものかわからない」という方も多いでしょう。
昨今では、自社ECサイトを持つ企業が多くなったことから、ECサイトを構築するための様々なサービスが提供されています。
「Shopify」などのASPカートやカスタマイズ可能なECパッケージなどを利用する方法がありますが、中でも、クラウド上のECプラットフォームを利用するクラウドECが注目されています。この記事では、そのクラウドECサービスの特徴などを解説いたします。
DMMチャットブーストではECサイトの立ち上げに関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
クラウドECとは
クラウドECとは、クラウド上にあるECプラットフォームを利用して、ECサイトを構築することができるサービスです。
ECサイト構築に必要な、商品の管理、サイト内の編集、決済などの機能をまとめてクラウド上に用意し、ベンダー管理の元、そのままクラウド上で利用できます。
常に最新の情報にアップデートされるため、セキュリティ面で特に優れているサービスです。
既存のプラットフォームを利用する点では、ASPカートやECパッケージと似ていますが、カスタマイズ性が高く、自社サーバーへのインストールが不要で、常にベンダーが管理しているなどの特徴があります。
クラウドECの4つの特徴
ECパッケージに分類されるクラウドECですが、ECパッケージやASPカートとは違う特徴があります。ここでは、クラウドECの主な特徴を4つ紹介します。
|
クラウドECの特徴1|システムを最新に保てる
クラウドECでは、ECサイトのシステムを最新のものに保つことができます。
サイト構築に使っているプラットフォームは、常にベンダーが管理しており、自動で最新の情報にアップデートされます。
ECパッケージなどでは、プラットフォームを自社サーバーにインストールしているため、自身で定期的にシステムのメンテナンスやアップデートを行う必要がありますが、クラウドECではそういった作業は不要です。
ネット社会の変化に対応するためには、システム改修が度々必要になりますが、その度にかかる改修コストも削減することができます。
新しいシステムが日々生まれる中で、自社ECサイトの利便性を高めるためにも、常に最新のシステムに保つことができることはメリットといえます。
クラウドECの特徴2|サーバーの安定性が高くセキュリティ面も安心
クラウドECでは、サーバーの増減を設定できるという特徴もあります。
タイムセールなどのイベント時期や、話題性のある商品の販売日などに、アクセスが集中してサーバーに負担がかかり、繋がりにくくなることや、サーバーダウンしてしまうことを防ぐことに役立ちます。
サーバーが不安定だと、顧客への印象が悪くなってしまったり、折角の販売チャンスを逃してしまう恐れがあります。
そこで、サーバーの増減を予め設定しておけるクラウドECなら、アクセス集中時にも、安定した環境を提供することができます。
また、サイト構築手段を考える際に重要となるセキュリティに関しても、システムが自動アップデートされるのと同様に、常に最新状態に保たれています。ECサイトには、顧客情報やクレジットカード情報、売上情報など、社内外の情報がたくさん管理されているため、セキュリティは常に万全である必要があります。
自動でセキュリティ情報がアップデートされるクラウドECなら、セキュリティ対策の負担も減らすことができます。
クラウドECの特徴3|自社インフラがなくても短期間でサイト構築ができる
通常、サイト構築には、サーバーなどの自社インフラの整備や、システム管理、セキュリティ対策などができる専門知識のある人員の確保が必要となります。
しかし、そもそも社内リソースがない場合、ECサイト導入までにかなりの時間がかかってしまいます。
一方、クラウドECでのサイト構築では、データや機能の管理はクラウド上ですべて行うため、自社サーバーの用意は必要ありません。
また、サイト構築に必要な基本機能は最初から用意されており、その後の運営に必要なシステムのアップデートやセキュリティの対策など、専門的な知識が必要になる作業は、ベンダーが管理してくれるため、自社に専門スキルを持った人員を確保しなくてもECサイトを運営できます。
そのため、自社インフラ整備や人員の確保に時間を割く必要がなく、他のサイト構築方法と比べると、ECサイト導入までの期間がグッと短くなります。自社に合わせたカスタマイズをする時間はかかりますが、比較的短期間でサイト構築ができます。
クラウドECの特徴4|カスタマイズできてランニングコストが低い
ASPカートやECモールへの出店は、導入コストは低いものの、自社の意向に合わせたカスタマイズが難しくなります。
それに対して、クラウドECやECパッケージは、カスタマイズ性が幅広く、サイトにオリジナリティを持たせることができます。
特にクラウドECは、システムのアップデートが自動で行われるため、システムの更新のたびにコストがかかるECパッケージとは違い、ランニングコストも抑えたうえで、最新のカスタマイズができます。
導入初期費用はそれなりにかかるクラウドECですが、その幅広いカスタマイズ性と、最新の情報に合わせた改修にかかる費用がかからないことから、長期間の運用での費用対効果が高く、評価されています。
クラウドECはASPカートやECパッケージと何が違う?
クラウドECは、既存のプラットフォームを利用するところから、ASPカートやECパッケージと似ている部分がありますが、全く異なるサービスです。
それぞれのサイト構築方法について、クラウドECとの違いを解説します。
ASPカートとの違い
ASPカートは、クラウドECと同じく、ベンダーが管理するECプラットフォームを利用してサイト構築します。システムのアップデートも自動で行われることから、クラウドECと混合されがちです。その導入コストは低く、無料で使えるサービスもあります。
設定もシンプルであるため、サイト構築が簡単にできますが、その分カスタマイズの幅が狭く、サイトのコンテンツやデザインが限られます。外部連携も限られた範囲のみしか対応していません。
初期費用が非常に低く、短期間で導入可能なため、小規模企業では導入しやすいメリットがありますが、中・大規模の企業でサイト構築する場合は、システム連携は難しく、大量アクセスなどの対策ができないなど、使い勝手が悪い面があります。
ECパッケージとの違い
ECパッケージは、ECサイト構築や運営に必要なシステムがパッケージ化されたサービスのことです。既存のプラットフォームを、自社サーバーにインストールして、サイト構築を行うため、必要に応じてカスタマイズしやすいのが特徴です。
クラウドECとは、既存のプラットフォームをクラウド上で使うか、自社サーバーで使うかの違いがありますが、他にもセキュリティ面での違いがあります。
ECパッケージでは、クラウドECとは違い、システムの更新は自動でされないため、数年毎に大規模な改修が必要となります。
そのため、常に最新のシステムで運営できるクラウドECと比べると、セキュリティ面で劣ってしまいます。また、改修のたびに費用が掛かってしまうのも難点です。
しかし、パッケージを提供している企業のサポートが受けられることや、外部連携がしやすいメリットもあります。中規模以上のECサイトを運営するの場合は、ECパッケージかクラウドECなどのサービスがおすすめです。
クラウドECのメリットとデメリット
クラウドECでサイト構築を行う際のメリットとデメリットについて解説します。
メリット | デメリット |
|
|
クラウドECのメリット
クラウドECは、その他のサイト構築手段と比べると、費用対効果の高さが優れています。初期費用は最も安価なのはASPカートですが、自社の意向に沿ったカスタマイズが難しい点や、拡張性が低いことを考えると、効果が高いとは言えません。
それに対しクラウドECでは、必要に応じてカスタマイズが可能であり、外部システムとの連携もしやすいため、理想のサイト構築が可能です。さらに、システムの自動アップデートにより、ECパッケージのように数年ごとにかかる大規模改修費用も不要であるため、ランニングコストを抑えてサイト運営をしていくことができます。
そのため、初期費用ではASPカートに劣るものの、その費用対効果が高く人気が集まっています。
クラウドECのデメリット
クラウドECには、自社内で保守管理ができないというデメリットがあります。
多くのクラウドECサービスでは、ソースコードが開示されていないため、自社で保守管理をしたい企業では取り入れることは困難です。
また、費用対効果が高いため、長い目で見ればコストパフォーマンスは良いですが、導入コストはそれなりに掛かるため、ある程度の資金力がある企業でないと導入が難しくなります。
さらに、クラウドECでサイト構築した場合の費用は、経費扱いとなるため、自社資産として計上したい場合も、デメリットとなってしまいます。
クラウドEC導入がおすすめな企業
【クラウドEC導入がおすすめな企業】
|
費用対効果が高く、セキュリティ面も安心なクラウドECですが、どの企業でも導入効果があるとは言い切れません。
初期費用などを考えると、小規模企業には使いにくいサービスとも言えます。小規模すぎても大規模すぎても、そのサービス内容が理想のサイト構築とは見合湧ない可能性があるため、クラウドECをおすすめする企業は、ECサイト年商が1億~20億円程度の中〜大規模の企業です。
ECサイト年商が1億円以下の企業では、ASPカートを利用した方が、コストも抑えることができ、充分なECサイト運営が可能ですが、1億円を超えるくらいになると、受注業務などの商品の管理が追い付かなくなってしまったり、機能のカスタマイズが必要になってきたりするため、クラウドECがおすすめです。
逆に、ECサイト年商が20億円を超えるような企業では、外部連携がより複雑になり、カスタマイズの幅をより広げる必要性が出てくるため、ECパッケージなどの拡張力の高いサービスが選ばれやすくなります。
また、クラウドECは、サイト構築に必要なシステムや、セキュリティ対策などは、全てクラウド上でベンダーが管理するサービスですので、サーバーの用意などができる専門的な知識がある人員を確保する必要はありません。よって、自社でECサイト専門の人員確保が難しい企業にもおすすめと言えます。
クラウドECの最適な選び方
クラウドECでサイト構築をする際には、自社の意向と合致するクラウドECサービスを選ぶことが重要です。
そのために注意するべきことについて、紹介します。
クラウドECの選び方1|自社ECサイトの目的・目標と合致するクラウドECを選ぶ
クラウドECサービスを選ぶ際には、自社のECサイトの目的をしっかり把握しておく必要があります。ECサイトのターゲット層や、売り上げ目標、取り扱う商品や配信コンテンツのコンセプトなど、ECサイト構築の目的や目標を設定しておかなければなりません。
自社ECサイトのコンセプトをしっかり設定することは、企業ブランディングに影響します。この段階で、クラウドECではなく、ASPカートやECパッケージなどの他ECサイト構築手段の方が適していると判断される場合もあります。
自社のECサイト目標に沿ったECサイトを構築するためにも、社内でのECサイトの位置づけをしっかり把握しておくことが重要です。
クラウドECの選び方2|サポートが充実しているクラウドECを選ぶ
クラウドECにおけるECサイト構築のプラットフォームは、クラウド上でベンダーが管理するため、ベンダーによってその内容が異なります。初期導入の時から、専任の担当者が付くなどのサポートがあるところや、導入後も設定方法の相談などに随時電話やメールで対応してくれるサポートがあるところもありますが、全てのベンダーが同じサポート体制であるとは限りません。
有償でECサイト運営のコンサルティングを提供しているベンダーも存在します。また、長期にわたって運営していく中で、クラウドECサービス自体が終了してしまうようなことがあると、移転などで大きな損失になりかねませんので、安定性のあるサービスを選ぶことも重要です。
クラウドECを選ぶ際には、サポート体制やベンダーの企業規模などをしっかり確認し、安定性のあるサービスを選ぶようにしてください。
クラウドECの選び方3|見積もりを複数社比較する
自社の目的に合ったクラウドECを見つけたら、複数社から見積もりを取って比較してください。
見積もりを比較する際には、費用はもちろん、サポート体制や使える機能など、さまざまな視点から比較することが重要です。
見積もりでは、費用面が特に気になりがちですが、一番安いベンダーが良いサービスを提供しているとは限りません。
自社の意向に合う予算や希望納期、必要な機能が反映されているか、しっかり確認してください。
また、自社のECサイトの目的や売り上げ目標に対して、どのようにアプローチしていくかなどを提案してくれているかも重要です。
ECサイトを運営していく中で、売り上げを伸ばすために機能や予算を見直すことも考えられます。
そのため、必要なコミュニケーションが取れ、柔軟に対応してくれるベンダーなのかを見極めるためにも、見積書の内容はしっかりチェックして利用するサービスを選んでください。
クラウドECを選ぶ際はサポート体制や安定性のあるサービスを利用しよう
クラウドECは、中・大規模の企業でのECサイト構築において、おすすめのサイト構築手段です。クラウド上で管理することによって、最新のシステムを常に反映することができ、セキュリティ面でも安心できます。
クラウドECを利用する場合には、ECサイト運営を成功させるためにも、自社のニーズと合致した上で、サポート体制や安定性のあるサービスを選ぶようにしてください。
また、自社のECサイト構築の目的と合わない場合には、ASPカートやECパッケージなどのほかの手段も検討してみてください。
小規模企業では、安価で短期間に始めることができるASPカートがおすすめです。
チャットボットサービスの「DMMチャットブースト」は、ASPカートサービスのshopifyとLINE公式アカウントを連携させ、自社アプリのように使えるようにすることができます。
ASPカートでのサイト構築を検討する場合は、一度目を通してみてください。
DMMチャットブーストではEC事業に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。