BtoB ECの導入を検討しているのなら、自社にとってどのようなメリットとデメリットがあるのかを把握しておくことが大切です。
そしてメリットを十分に活かすためには、業界のデメリットや課題を知り、構築のポイントも熟知しておくといいでしょう。
この記事では、BtoB ECを導入するメリットやデメリットについてくわしく紹介します。
効果を上げるポイントについても解説するので、ぜひ活用してみてくださいね。
DMMチャットブーストではECサイトの種類や特徴に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
BtoB ECの概要
BtoB ECは、企業同士の取引をインターネット上で行う仕組みです。
デジタル化が進む近年では、BtoB EC市場の需要が増えています。
まずは、そんなBtoB ECについてくわしく解説しましょう。
BtoC ECとの違い
BtoB ECは企業同士で行うインターネット上での取引であることに対し、BtoC ECは企業が一般の個人に対して行うインターネット取引です。BtoB ECは、いわゆる卸問屋と小売店・メーカーなどといった関係での取引となります。
ビジネスを展開する対象が違うことにより、BtoB ECとBtoC ECはシステム構築上にも大きな違いがあります。
たとえばBtoC ECでは、基本的に価格も用意する商品も顧客ならば全員同じです。BtoB ECの場合は企業ごとに価格や用意する商品が異なる場合が多くあるため、各取引先に応じて違う価格を表示できるシステムが必要です。
さらに、BtoB ECでは掛売り対応が必要となるケースが多く、これに対応できるシステム構築も欠かせません。
BtoB EC | BtoC EC | |
ID | 企業だけでなく、部署や担当者と紐づける | 個々に1つずつ使用する |
価格・商品 | 企業ごとに価格や商品を変える | 基本的には全員統一の表示 |
支払方法 | クレジットカードや代金引換、掛売りなど | クレジットカードや代金引換など |
BtoB ECでは、さらに最低注文数の設定や見積書作成などの機能が必要となる場合があります。
DMMチャットブーストではECサイトとは何か、理解を深めるための事例に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
BtoB ECの市場規模
BtoB ECの市場規模は、拡大を続けています。
「令和2年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」を見ると、BtoB ECの市場規模は334.9兆円で353.0兆円だった令和元年に比べると5.1%減少しました。
(参照元:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000113.pdf)
しかし従来の商取引方法からECへ切り替えた割合は33.5%で、前年よりも増えています。
(参照元:https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html)
BtoB ECの市場規模が拡大している背景には、働き方改革による業務効率化への取り組みやインターネット環境が急速に普及したことがあります。
さらにモバイルデバイスも広く普及しインターネットをより手軽に使えるようになったことも、BtoB ECをより浸透させている一因です。
今後も、BtoB ECの市場規模は拡大していくと考えられています。
BtoB ECの構築方法
BtoB ECを構築するための方法は、主に下記の4つです。
・クラウド型
・ASP型
・フルスクラッチ型
・パッケージ型
BtoB ECの構築方法1|クラウド型
クラウド型は、クラウド上でECを構築し運用ができます。システムは常に最新の状態をキープでき、運用者自身でカスタマイズが可能です。外部のシステムとの連携もできますが、ソースコードが非公開のため自社での保守管理はできません。
メリット | デメリット |
・常に最新の状態をキープできる ・カスタマイズが可能 ・外部システムとの連携が可能 |
自社での保守管理ができない |
BtoB ECの構築方法2|ASP型
ASP型もクラウド上でのEC構築及び運用ができるサービスですが、クラウド型に比べて手軽に使える点がメリットです。基本的な機能はすべてそろった状態でスタートでき、保守管理も必要ありません。
その一方で、クラウド型のように自由なカスタマイズができず外部のシステムとの連携も限られることに注意が必要です。
メリット | デメリット |
・基本的な機能がそろっている ・保守管理が必要ない |
・カスタマイズに制限がある ・外部システムとの連携に制限がある |
BtoB ECの構築方法3|フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は、自社でゼロからシステムを構築する方法です。手間と時間がかかる方法ですが、自社に最適なシステムを作り上げることができます。ただし定期的なリニューアルが必要になることや保守管理を徹底する必要がある点には、注意しましょう。
メリット | デメリット |
自社に最適なシステムが作れる | ・手間と時間がかかる ・定期的にリニューアルが必要 ・保守管理を徹底する必要がある |
BtoB ECの構築方法4|パッケージ型
パッケージ型は、一般的な業務で必要となる機能がパッケージ化されていて、これをカスタマイズして運用します。基幹システムとの連携が前提となっていて、自社に最適なシステムを構築できることが特徴です。
メリット | デメリット |
・基幹システムと連携し、自社に最適なシステムを構築できる ・カスタマイズの自由度が高い |
費用が高め |
BtoB ECを導入する4つのメリット
BtoB ECを導入するメリットとデメリットは何でしょうか?ここでは、4つのメリットと3つのデメリットを紹介します。
BtoB ECを導入するメリットは、「業務効率をアップできる」「カスタマーサービスの向上が見込める」「売り上げアップが見込める」「新規の顧客獲得が見込める」の4つです。
BtoB EC導入のメリット①業務効率をアップできる
BtoB ECを導入すると、受注のための管理や在庫の確認、見積書の作成、請求書の発行などの業務が必要なくなります。これらはすべてBtoB ECのシステム上で管理されることになるため、人為的なミスが大幅に減るでしょう。
またBtoB ECのシステム上でさまざまな情報を公開できることから、相手企業からの問い合わせ数も減ることが予想されます。電話対応やメール対応の業務負担が減ることから、現在の社員数でより多くの受注をさばけるようになる可能性もあるでしょう。
電話やメールでの対応では聞き間違いや入力ミスが起こるリスクがありますが、BtoB ECならばそのリスクも低くなります。
BtoB EC導入のメリット②カスタマーサービスの向上が見込める
取引相手となる企業にとっても、BtoB ECの導入は業務の効率化が期待できます。商品の詳細や在庫確認、納期の確認などがBtoB ECのシステム上ですぐに行えるため、時間の無駄がありません。
問い合わせの回数が減ることで業務負担も少なくなるため、BtoB ECシステムの導入による恩恵は大きいといえるでしょう。またBtoB ECでの受注履歴などを参考にすることで、顧客企業に対する新しいアプローチが見えてくることもあります。
これによりカスタマーサービスは向上し、企業間の取引はより円滑に進むことが期待できます。
BtoB EC導入のメリット③売り上げアップが見込める
BtoB ECの顧客情報を分析すると、マーケティング施策のポイントが見えてきます。リアルタイムで売上を分析できるので、これを利用して顧客にとってタイムリーなキャンペーンなどを行うことも可能です。
顧客のニーズにあわせたマーケティング施策ができることで、売り上げアップが見込めます。
BtoB EC導入のメリット④新規の顧客獲得が見込める
BtoB ECならば、遠方の企業や今までつながりのなかった企業を顧客として獲得できる可能性があります。インターネット上で公開されるBtoB ECならば、販路に制限がないといえるからです。
とくに、取引先以外の企業でも閲覧できるオープンサイトであれば、サイトを見たさまざまな企業が顧客になる可能性があります。
サイトを閲覧した企業や問い合わせをしてきた企業に対して、適切なアプローチをすることで新規顧客として獲得できるのです。集客のためにリスティング広告を出したりSEO対策をしたりすることで、より新規の顧客獲得をしやすくなるでしょう。
BtoB ECを導入する3つのデメリット
魅力的なメリットが多いBtoB ECですが、「導入のためのコストがかかる」「社内で業務フローを調整する必要がある」「既存の顧客に対するサポートが必要になる」ことには注意が必要です。
BtoB EC導入のデメリット①導入のためのコストがかかる
構築方法により必要なコストは違いますが、どれを選ぶにしても初期費用がかかります。大がかりになりがちなBtoB ECの構築は、手間も時間もかかるため金額的なコストもかかりやすいです。
商品数やシステムの内容によってコストは変わってくるため、あらかじめ自社に必要な機能や商品数に適した構築方法を選ぶことがポイント。また導入にコストがかかるだけでなく、運営のためのランニングコストも発生するため、コストと収益のバランスを意識することも欠かせません。
さらに、BtoB EC導入に際して必要になる運用のためのトレーニングなどについてもコストを計算しておく必要があります。
BtoB EC導入のデメリット②社内で業務フローを調整する必要がある
BtoB ECのシステムを導入すると、社内の業務フローが大きく変わることも珍しくありません。電話対応やメール対応などが減り、在庫管理や見積書の作成などの業務も少なくなるからです。
これにより、人員配置を再検討して業務フローを調整しなければなりません。負担が少なくなる業務がある一方で、BtoB EC導入にあたり発生する業務も出てきます。これらを細かく把握して適切に人員を配置し、さらにBtoB EC導入後の社内サポートも充実させると安心です。
BtoB EC導入のデメリット③既存の顧客に対するサポートが必要になる
既存の顧客は、BtoB EC導入により今までと取引の手順が変わることに戸惑うこともあるでしょう。既存の顧客との取引を継続させるためには、この部分のサポートも欠かせません。
電話やメールなどでの対応や受注だった内容がすべてBtoB EC上となることは、既存の顧客にとって大きな壁となることもあるからです。顧客を囲い込んでおくためには、丁寧にサポートしていく姿勢が大切です。BtoB ECの使い方や各種手続きを記したマニュアルの作成、さらには実際に操作の説明をする機会を設けるなどするといいでしょう。
これらなしにBtoB ECを導入してしまうと、顧客を失いかねないので注意が必要です。
BtoB ECを活用する3パターン
BtoB ECを活用するパターンは主に3つで、「WEB受注型」「WEB発注型」「本部-店舗型」です。
BtoB ECの活用パターン①WEB受注型
BtoB ECの活用でもっとも多いとされているのが、WEB受注型です。自社の商品やサービスを、BtoB ECで購入してもらうのが目的のパターンです。WEB受注型は、既存の顧客を対象として展開するケースと、新規の顧客獲得を目的として展開するケースがあります。
既存の顧客を対象とするケースでは、今まで電話などで受注していたものをBtoB ECからの受付に変更します。その一方で新規の顧客獲得を目的とするケースは、リスティング広告やSEO対策などをしてさまざまな企業に対してアプローチすることが特徴です。
どちらのケースでも、BtoB EC上での購入を目的としています。
BtoB ECの活用パターン②WEB発注型
WEB発注型は、自社の発注に関連する業務をEC化するパターンです。発注作業、納期の確認、出荷の確認などを主な業務としていて、BtoB ECの導入により業務負担を大幅に減らせることがメリットです。
また取引先企業とのやり取りもBtoB EC上でできるため、人為的ミスの削減が見込めます。BtoB EC導入のパターンとしてはWEB受注型より少ないですが、中小企業などで注目されているパターンです。
BtoB ECの活用パターン③本部-店舗型
複数の店舗を展開している企業では、本部-店舗型も導入されています。本部-店舗型は、店舗から本部へ備品などを発注する際に活用されるBtoB ECです。電話やメールなどでの発注業務がなくなることから、本部も店舗も業務負担の削減が見込めます。
業務負担が少なくなれば、その分それぞれがほかの業務に注力できるので、企業全体の売り上げアップも見込めることが魅力です。>
BtoB ECを実際に導入した事例
BtoB ECを導入した事例は数多いですが、ここでは成功例として「モノタロウ」と「アスクル」を紹介します。
BtoB ECの事例①モノタロウ
引用:monotaro.com
事業向けに工業用の間接資材や工具を販売している「モノタロウ」は、WEB受注型でBtoB ECを展開しています。BtoB ECを展開したことから、購入希望者はこれまでのように問い合わせをしたりカタログを取り寄せて注文したりする手間がかからなくなりました。
1点から発注でき最短翌日配送が可能というのがモノタロウの強みで、多くの業者が利用しています。今まで価格が高く納品も遅かった小口発注も、モノタロウがBtoB ECを導入したことによりデメリットが解消。
大量の商品を扱い、スピーディーで1点から発注できるという便利さから、モノタロウは「工場のAmazon」の異名で呼ばれることもあります。
BtoB ECの事例②アスクル
引用:askul.co.jp
オフィス用の事務用品を扱っている「アスクル」も、WEB受注型のBtoB ECを導入した企業の1つです。今まではアスクルへ直接出向いて購入する必要があった中小事業者でも、BtoB ECによりインターネットでの購入が可能になりました。
これにより、以前よりも多くの企業がアスクルを利用できるようになったのです。また、アスクルは既存の顧客向けとしてだけでなく、新規顧客獲得の目的でもBtoB ECを活用しています。
独自のエージェント制度を導入したことでも知られる、アスクル。この制度により、エージェントは顧客の開拓や債権管理、代金の回収を担当、アスクルはカタログの発送や注文受付、配送を担当するという役割分担をしています。
BtoB ECを構築する際のポイント3つ
BtoB ECの構築では、「BtoB ECの目的とフローを明確にする」「適した構築方法を見極める」「利便性の高い構築サービスを選ぶ」の3つのポイントを押さえておきましょう。
BtoB EC構築のポイント1|目的とフローを明確にする
BtoB ECを導入する目的は、最初に決める必要があります。どのパターンで展開するのか、WEB受注型ならば既存の顧客向けなのか新規顧客の開拓のためなのかです。
アスクルのように既存顧客だけでなく新規顧客の開拓を目的とする場合もありますが、その場合はどちらをメインにするかも決めておくといいでしょう。また、BtoB EC導入に向けてフローを明確にすることも欠かせません。
まずは原状の業務の流れをこまかく把握し、次にBtoB EC導入後を想定して業務の流れを組み立てます。発注を受けて発送が完了するまでの手順を細分化し、BtoB ECに切り替えてもスムーズに運用できるようにすることが大切です。
さらに、社員が直接やり取りしていたからこそできた柔軟な対応を、今後どのように融通を利かせるのかについても検討しましょう。BtoB ECの導入にともない柔軟な対応ができなくなってしまうと、既存の顧客が離れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
BtoB EC構築のポイント2|自社の目的に合った構築方法を見極める
4つあるBtoB ECの構築方法は、それぞれにメリットとデメリットがあります。これらをふまえ、自社がBtoB ECを導入する目的や予算などに合わせて適切な方法を選びましょう。メリット・デメリットを比較する際、特に注目すべきはカスタマイズの自由度。
フルカスタマイズして他社との差別化を図りたいのか、必要な部分のみのカスタマイズのみにして予算を抑えるのかについて、あらかじめ検討しておくことも欠かせません。予算、カスタマイズの範囲、そして専門知識の有無を考慮し、自社のビジネスサイズに適した構築方法を選びます。
BtoB EC構築のポイント3|利便性の高い構築サービスを選ぶ
BtoB ECを構築するためのサービスは数多いですが、その中から自社にとって利便性が高いものを選ぶことも重要です。自社が現在使用している基幹システムと連携が取れるかを、まずはチェックしましょう。
また基幹システムの構成などを細かく理解し、これに基づいてBtoB ECを構築していくことも欠かせないポイントです。専門知識があまりなくても構築できるサービスを選ぶ場合は、BtoB ECに必要な機能がそろっているかどうかも確認します。たとえば、顧客ごとに掛け率を変える機能や見積もりの作成機能など。
フルカスタマイズするのならば必要な機能はすべて自社で構築できますが、そうでない場合はあらかじめ使える環境が整っているサービスを選ぶことが必須です。
BtoB ECを導入して売り上げアップをめざそう!
BtoB ECを導入することには、企業にとってありがたいメリットが多くあります。なかでも売り上げアップを見込めることは、BtoB EC導入の最大の魅力ではないでしょうか。
このメリットを得るためには、BtoB EC導入の目的を明確にすることや適した構築方法、構築サービスを選ぶことがポイントです。
BtoB EC導入にともない、チャットボットサービスの利用もおすすめ。DMMチャットブーストは、LINEで顧客対応やマーケティングができるチャットボットサービスです。
24時間自動で顧客対応してくれるBot機能や、Shopifyと連携することでLINE上で商品の検索や購入ができる機能もあります。
さらなる業務効率化と売り上げアップをめざし、DMMチャットブーストの利用も検討してみてください。
DMMチャットブーストではEC事業に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。